病院の待合室に響いた子供の恐ろしい一言

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

・待合室に響いたシャレにならない子供のひと言

大学病院の内科医局に勤めるAさんには、4歳になる長男コウちゃんがいる。小さな子どもを連れて病院にいくのは、どこへ行くよりも、気疲れするものである。あと3カ月で、妻のK子さんは2人目を出産する予定だ。Aさんが当直明けのある日の午後、以前から家族と約束していた子どもミュージカルに行くため、病院で落ち合うことになった。少し早く着いたK子さんとコウちゃんは、Aさんの仕事が終わるまでロビーで待つことにした。コウちゃんにとっては生まれて初めて見学する、お父さんの勤め先である。

ところが3時半頃になって、Aさんがロビーに行ってみると、そこには妻と息子の姿が見えない。K子さんがダメよと注意するのも聞かずに、ロビーのソファーとソファーの間を走り回っていた。一体どこ行っちゃったんだろうとさんざん探して、ようやく産婦人科の待合室で2人を見つけた。コウちゃんが、ふいにこっちを向いていきなり大声で叫んだ。K子さんは一瞬心臓が止まるかと思った。「ねえママ、ここにいる人たち、みんな死んじゃうんでしょッ?」

いても立ってもいられずに

いても立ってもいられずに、息子を抱えて走り出し、おなかの大きいK子さん、とっさの判断で産婦人科のフロアへあたふたと逃げ込んだというわけだ。そんなドタバタがあったとは知らなかったAさん、思わずウーンとうなってしまった。入院患者がひと息つきに、病棟からロビーへと下りてきている。外来も予約や検査の患者だけになり、いくぶんひっそりとしている中に、ポツポツとパジャマやガウン姿が見える。入院患者たちは、少しでも外の健康な空気に触れたくて、ロビーに下りて来るのであろう。

本当にもうすぐ死んじゃう人がそこにいたかどうかはわからないが、ただの元気のない病人でも、4歳の子どもにとっては、みんなそう見えるのかもしれない。ガラガラと点満のビンを下げた動台を動かしながらゆっくりと歩く者、玄関の明るいガラスの創四外をぼんやり眺める者。やっばり病院での待ち合わせはダメだね、とAさん夫婦は顔を見あわせ、うなずき合ったのである。

記事一覧はこちら

スポンサーリンク

関連記事

no image

スクリーニング検査とは?どこまで分かるようになるのか?

~スクリーニング検査でどこまでわかるか~ スクリーニング検査とは、初診のときや経過中に検血血査

記事を読む

no image

医者が始めて打つ注射の本音とその犠牲者

医者なら誰でも、初めて注射をする日があります。ということは、最初に注射をされる犠牲者も必ずいるわけで

記事を読む

no image

医療ミスの事例は多いが隠蔽しようとするものもいる

医者は、警察官や自衛官、教員などと同じで、いったん反社会的な行為をしたら、その人の信用は一気にゼロに

記事を読む

no image

医者のいじめの対象-性格が悪い助手が研修医をチクチク

大学病院の医局は、女の子が多い職場に似ているといわれることもあるようだ。特にイジメ。その対象は主に研

記事を読む

no image

医者が患者の場合一つのミスもなくさなければいけない-用語集

・患者が医者 医者だって当然病気になるが、その場合の主治医の感想としては、やむにくいの一言に尽

記事を読む

no image

妊娠後の死産を増やすある産婦人科の話

地方都市の近郊にある土着の病院で、親子代々がお産するので有名だった。先代の死後、二流私大を出た息子が

記事を読む

no image

医師会の力は昔よりは弱まったとはいえとにかく絶大

政治にも絶大な力を誇ると言われている医師会。医師会の力は昔よりは弱まったとはいえ、とにかく絶大だ。政

記事を読む

no image

良い悪いドクターの例を紹介-よく観察した方がよい特徴や注意点

一見、重い病気だったんだから仕方がない。諦めましょうという慰めのコトバに聞こえるが、必ずしもそうとは

記事を読む

no image

医学部の講義では治療の話はあっても実際使用の薬の話は聞けない

大学病院の医療が外来に依存しているわりには、外来診療をきちんと教育していない。あくまでも自分で経験し

記事を読む

no image

医者を目指すと決めた頃にあった志はすぐに崩壊していくという話

医者になり、実習の頃に見ていた先輩の姿が医局ではまったく違って見えることを知る。同時に自分が医者とし

記事を読む

スポンサーリンク

スポンサーリンク

no image
医者が転勤先で苦労する人と人とのコミュニケーション

転勤をいっぱい経験した医者の話では、方言のある地域へ行くのは、大変、外

no image
医師は不倫をしやすいの!?当直という名の外泊

オバ様族の患者さんが、男性の医師の私生活を知りたがる傾向にあるという。

no image
医者の学会の費用-豪勢な噂は本当なのか?

昔テレビでドラマ化されていた、白い巨塔のイメージでそう思ったのかもしれ

no image
製薬会社と病院の癒着は本当にあるのか?

研修医として病院に出勤すると、製薬会社社員からプレゼント責めにあうこと

no image
医者が始めて打つ注射の本音とその犠牲者

医者なら誰でも、初めて注射をする日があります。ということは、最初に注射

no image
忙しくて医師求人がなかなか探せない人におすすめの会社

医師の中には、転職を考えているが、忙しくてなかなか行動に移すことができ

→もっと見る

PAGE TOP ↑