病院の待合室にやってきた手ごわい常連

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

ある民放キー局のすぐ近くにある、T大学病院。場所がら、ここは芸能人の患者も多い。昼間は彼らも他の患者さんの手前、なるべく目につかないように気をつかっているようだ。10~20代の若いタレントの中には、夜間の病院も昼間のテレビ局前も、同じものだと思っている人がいる。

おタマばあちゃんが当直の看護婦相手に待合室で無駄話をしていたとき、某有名歌手のKが入って来た。暮れも押し迫ったある晩、T大学病院の深夜の常連であるおタマばあちゃんがやって来た。寝入りばなに決まって持病のリューマチが痛くなるおばあちゃん、週に1度は孫の運転する車で救急センターを訪れるのだ。

病院側も、できるだけ人目につかないよう配慮することにしているが、夜はけっこう堂々としたもんだ。薄暗い深夜の待合室で、おばあちゃんと向かい合わせの席に座ったKは、おもむろにレイバンのサングラスをかけたまま週刊誌を読み始めた。そのキミョーな姿をしみじみと見すえて、おばあちゃんがKに一言。「あんた、なんでこんな夜中に黒メガネなんぞかけているのかね」Kはちょっとこっちを向いたが、聞こえないフリを決め込んだ。

追い討ちをかけるように

そこへ追い討ちをかけるように、おタマばあちゃんの芸能レポーター顔負けの質問攻めがはじまった。さすがにだんまりを決めこんだKの顔面にも、だんだん焦りといらだちの色が見えてきた。「あ、そうか、あんたヤクザさんかね。だけども、そのまんまじゃ本は読めないだろうがね」Kはひたすら週刊誌に顔をうずめて、無視した。それを見ておばあちゃん、妙な顔で「へンな子だねえ?」とつぶやくが、ふと気がついたように、今度は、こ「ああ、目が不自由なのか、気の毒じゃねえ、若いのに」と、言いだす始末。

Kがまわりの好奇の目に耐えられなくなって、とうとうサングラスをはずし、沈黙を破ろうとした。なにしろこのおばあちゃん、ものすごく声が大きいのだ。その瞬間、「おタマおばあちゃ?ん」と、診察室から看護婦の呼ぶ声がした。

「はあい」と元気よく返事したおばあちゃん、Kのほうを振り向いて、「かわいそうに、耳まで遠いんか」いかにも気の毒そうに、そう言い残しておばあちゃんは去っていった。けれども周囲の視線はKに釘づけのままである。おタマばあちゃんが彼のことを知ってるはずもないのに、真夜中にサングラスをかけたままの、無言のタレント。その姿はたしかにマヌケであった。

スポンサーリンク

関連記事

no image

医師は不倫をしやすいの!?当直という名の外泊

オバ様族の患者さんが、男性の医師の私生活を知りたがる傾向にあるという。やはり女性は、ワイドショー的な

記事を読む

no image

患者とのコミュニケーションのスキルの問題

今のご時勢、一方では医者より学歴の高い患者さんは、とくに都会ではたくさんいるし、インターネットを駆使

記事を読む

no image

国民健康保険制度の問題点

国民健康保険制度の問題点は、きちんと払わせる目的もあって、病気になってから入るということを原則的に許

記事を読む

no image

研究費は知名度、人脈、教授の力の見せどころ

科学研究補助金と呼ばれる金が、研究者にとっては最も大きな研究費となる。これは申請した研究内容を文部省

記事を読む

no image

問診の内容や診察した所見を記載することなど

内科の場合、一般的には、顔色、眼、口、首、胸部、腹部などと上から下へ進んでいきます。まず顔色です。顔

記事を読む

no image

ガン告知の真実-病名を隠す傾向がある現代

治療をすれば治るガンについては、告知することが一般的になってきました。現実には、ガンを告知されてよか

記事を読む

no image

行った治療行為に応じて医者に金を払うシステム

行った治療行為に応じて医者に金を払うシステムにすると、過剰診療になりがちなのだが、逆に定額制にすると

記事を読む

no image

病院食がまずいのは調理のせいではないようだ

もちろん病気によっては食べてはいけない食品があり、好き勝手に食べられては満足な治療ができないことはあ

記事を読む

no image

東大理科Ⅲ類卒の有利な点は医者以外の仕事をめざす場合

東大の大学院を東大卒業生が受けて落ちることはそうないが、これはおそらく英語などの学力が高いからだろう

記事を読む

no image

研修後に医師が雇用してもらうには

研修後に医師が雇用してもらうには。 研修が終わった後、雇ってもらえる方法としては、後期研修という形

記事を読む

スポンサーリンク

スポンサーリンク

no image
医者が転勤先で苦労する人と人とのコミュニケーション

転勤をいっぱい経験した医者の話では、方言のある地域へ行くのは、大変、外

no image
医師は不倫をしやすいの!?当直という名の外泊

オバ様族の患者さんが、男性の医師の私生活を知りたがる傾向にあるという。

no image
医者の学会の費用-豪勢な噂は本当なのか?

昔テレビでドラマ化されていた、白い巨塔のイメージでそう思ったのかもしれ

no image
製薬会社と病院の癒着は本当にあるのか?

研修医として病院に出勤すると、製薬会社社員からプレゼント責めにあうこと

no image
医者が始めて打つ注射の本音とその犠牲者

医者なら誰でも、初めて注射をする日があります。ということは、最初に注射

no image
忙しくて医師求人がなかなか探せない人におすすめの会社

医師の中には、転職を考えているが、忙しくてなかなか行動に移すことができ

→もっと見る

PAGE TOP ↑