がん治療の最前線-昔は切除しすぎという傾向もあった

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

確かに日本のがん切除手術の技術レベルは世界最高なのですが、切除しすぎという傾向もありました。五〇年くらい前には、肺がんになったというだけで肺の片方全部を摘出していました。そうすると、がんは治っても呼吸横能に支障が起こります。

抗がん剤でも副作用の少ないものが主流です。厚生労働省によると、胃がんによる死亡は減少していますが、肺がん、大腸がんなどの死亡者救は増加しています。がんの切除手術は、まるで外科医の腕試しか研究発表の材料にするためにあるかのようでした。これに対して、欧米のがん治療では、三つの治療法が公平に評価されて実施されています。

一昔前にはがんの治療というと、三つの選択肢がありました。切除手術、抗がん剤治療、放射線治療の三つです。実際には切除手術が圧倒的に主流で、抗がん剤治療や放射線治療はあまり実施されない傾向がありました。その一番の理由は、まずがん告知はタブーという風潮があったこと。がん告知をしない方針であれば、抗がん剤や放射線治療は患者に知られてしまうのでできません。

抗がん剤治療では、抗がん剤には強い副作用があるというイメージが広まりすぎていたことも、患者にこの治療法を選ばせなかった大きな理由でしょう。このために、がん治療では切除手術が主流になっていたのです。遺伝子レベルでがんを抑える遺伝子治療など、日本ならではの高度な治療技術を早急に確立して欲しいものです。

免疫力さえあれば薬剤で治る病気

また、かつて結核は不治の病でしたが、今は体力、免疫力さえあれば薬剤で治る病気です。ただし、結核の症状をよく知らない医者もいて、風邪などと見誤ることもあり、今でも毎年千人以上の死者がでていますが。医療技術は、日進月歩で進歩しています。一昔前には、治らなかったはずの病気が、今では治療可能になっているという例もたくさんあります。

胃潰瘍では、胃の切除手術をするのがかつては常識でしたが、その原因がヘリコバクター・ピロリ菌であることが発見されて、現在では薬剤による療法が主流です。今どき、胃潰瘍だからといって切除手術をしたら、その医者は訴えられるでしょう。

ところで、治療法が進歩するということは、半面、少し前まで常識と考えられていた治療法が、今では時代遅れになっていることも多いということです。日本は、以前は医療先進国の一つでしたが、最近はどうもそうではないようで、バブル崩壊以後の失われた一〇年ともいわれる不況の時期に、日本の医療は遅れた国になってしまった、という声もあります。

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