医学研究種類の細分化が引き起こす患者を人として見ることの欠如

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

医学研究を進めていく上で、細分化、専門化することは必要であり、科学の一つの方法であるが、最終目標が臨床医ということであれば、なぜ病気になるのか、病気になるとなぜ人問は苦しむのか、社会的にはどういうことが起きるのか、そんな目で患者を診ることのできる医者を作らねばならない。しかし、そう考える医者、自分の意見を言える医者がなかなか育つ環境ではない。

医学界という巨大な権威の機構に取り込まれてしまうと、そこで見た矛盾をはっきりいうことは、自分の出世や立場に影響が出る。おかしいなぜだという発見や発言がなかなか出てこないのは、こういった土壌にあるように思う。医学の基礎的な部分では記憶するものが非常に多い解剖学、組織学、病理学と、臨床医学へ入る前には、臨床上では何が重要なのかわからないまま記憶を強要される。

顕微鏡でのぞく人間の細胞は、人格もなければ、その組織標本となった人の社会背景など知るよしもない。そうやって、細かく、細胞レベルから遺伝子レベルと知識が深くなることで、医学生たちの持つ医学知識はますます全体としての人間の存在から遠ざかっていく。

患者を人間として見る方法を失っていく

教授たちの専門的な話は、医学生の好奇心を満たすものではあるが、患者を人間として見る方法を失っていく。そういう細分化の危険が説明されることはなくテストが迫り、教科書の知識を詰め込むということが操り返されていく。

医学は細骨化されて進歩してきた。例えば、内科では心臓、腎臓、肝臓というように、臓器別で分けられてしまった。したがって、総合的に人間の肉体を考え、その存在を考えることなどできなくなってしまった。古典的な医学の学問体系にも問題があろうが、骨のほんの小さなへこみを懸命に覚えることが、どんな意味を持つのか、誰も考える余裕などなく、どんどん知識は詰め込まれる。

しかし、臨床医学という目で見れば、患者は一人の人間として病院にやってくる。細分化された医学教育のために、細胞や遺伝子レベルの知識を詰め込まれると、病気で苦しむ人間がいることを、むしろ奇異の目で見ることになる。医学は人間を相手にしなくてはいけなかったのか。そんな驚きを示すことになるのだ。

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