エリート医学生が転部を決意したある理由

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

・エリート医学生が転部を決意したある理由

C君は昨年まで国立大医学部の3年生だった。医学生にとって、解剖実習は避けては通れない道だ。ところが、その道をどうしても通れない医学生がいた。だれの目にも将来有望な医者の卵だった彼は、入学してからも、同級生から一目置かれる優秀な学生だった。私立の有名受験高校を経て現役合格をしている。ところが、C君自身も気づいていなかった弱点が、彼にはあったのだ。みぞおちからへソの下まで一直線にメスを入れる。それから十字を切るようにタテにも線を入れる。

もちろん、亡くなっているから血は出ない。C君の初めての解剖実習は、消化器系統だった。
一歩下がって見ていたC君、どんよりと赤い肝臓を目にしたとたん、気を失ってしまった。ウーン、けっこう硬いなあよく見えないよ、もっと開いてみろよなんて仲間たちは頭を突き合わせて話している。あとはそのまま医務室へ直行。翌日も、その翌日も、彼は気持ち悪くてなにも食べられなかった。

肺にベットリついた真っ黒なタールを見て

何回か休講してから、2度目の実習の日、今度は心肺部の解剖であった。やっぱりどうしてもダメなのである。解剖体はへビースモーカーだったのだろう、肺にベットリついた真っ黒なタールを見て、C君は再び貧血を起こした。そして、とうとう彼は留年した。ほかのすべての教科がトップであってもだ。これまで1つの挫折も知らなかったC君がである。解剖学の単位が取れないと進級できない。なんでみんな、なんともないんだ?だって、C君がなんで気を失うのか、わかんないんだもの。

C君、人生最大のピンチ!しかし、だれもその問いに答えられない。その後、考えに考えたあげく、結局C君は違う道を進んだ。今は同じ大学の文学部哲学科に通っている。転部は一も二もなく許可された。そういえばあのとき、ほかの班のカエルまで解剖していたヤツがいたなあ。あいつは今どうしているのかな?平穏な日々の中でC君は思い出す。小学校のカエルの解剖のときも、彼は早退して帰ってきたことを。運動ばかりできたけど。あいつが医者になればよかったのにとC君は思うのである。

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