院内感染-MRSAなどの耐性菌との果て無き戦い

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

抗生物質の投与に厳しい規制のある欧米では、日本のような院内感染の事故の例はないようです。MRSAなどの耐牲菌による院内感染は、日本だけに見られる特殊な病気なのです。院内感染というと、一般には耳にしたことがあっても、その実態をご存知の方は少ないのではないでしょうか。

二〇〇二年には東京都内の脳神経外科で、院内感染が原因と思われる入院患者七人の連続死亡事故が発生し、宮城県でも四国でも院内感染による被害が続出しました。厚生労働省は、院内感染防止の対策委員会院内感染防止マニュアルづくりを改めて通達しましたが、それ以降も院内感染は一向になくならないのです。

院内感染でよく問題になるのが、MRSAなどの耐性菌です。MRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌といって、ベニシリンやメチシワンなどの抗生物質がまったく効きません。けれども、MRSAはそれほど強力な菌ではないのです。

抗生物質の一種メチシリンに強いだけ

メチシリン耐性という名の通り、抗生物質の一種メチシリンに強いだけなのです。ところが、MRSAに感染すると、全身に毒素が回って多臓器不全になったり、生命に関わる事態になることが珍しくなくなっています。

院内感染とは病院内で細菌、ウィルスなどに感染することですが、ここには大問題が隠されているのです。なにしろ、病気を治しに入院した病院で、新たな感染症にかかってしまうのですから、本末転倒もいいところ。それが原因で死亡するケースさえでています。

抗生物質に耐える耐性菌が生まれ、それを新しい抗生物質で抑え込んでいるうちに、MRSAに変化したのです。このMRSAを殺せる抗生物質が、ようやく作られるようになっています。けれども、一方でMRSAを殺せる抗生物質が効かない、まったく別の細菌も現れています。

ここには、日本の病院が昔から抗生物質を大量に患者に投与する傾向があったという背景があります。大量投与された抗生物質に鍛えられて、モンスター化した耐性菌が急速に増えているのです。これは、ずっと昔、第二次世界大戦のころ、傷を化膜させる黄色ブドウ球菌を抗生物質をべニシリンで殺すことができるようになって以来、ずっとくりかえされてきたことです。

そのため、今度はその細菌を殺すことができる新しい抗生物質を作り出しているようです。まさに、抗生物質と耐性菌はいたちごっこの状態です。

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