院長室でお宝をいただく-病院でのある出来事

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

通常、多くの病院では年に2度、7月と年末に大々的なカルテの整理をする。O病院もその例にもれず総整理となるのだが、総合病院だけに、その枚数はムチャクチャな量になる。夏、O病院にまたパニックの季節がやってきた。事務局は職員総出でことにあたるが、まさに右往左往のパニック状態である。おまけに今年は、新規にパソコンを導入したため、その入力作業だけでも多忙をきわめた。

病院内は空調が整備されているとはいえ、書類の束は重く、ほとんど力仕事に近いから、職員一同汗ダクである。一晩中働いて下着までぐっしょり、靴下はもちろんムレムレだ。昼間は外来患者との応対もあって、ほとんど満足に進まないため、勢い仕事は夜までもつれ込む。夏の暑い盛りに残業残業の連続である。

佳境に入ると徹夜も問わなくなるから、そのまま昼勤につくこともある。「せめて汗臭い靴下だけでも取り替えたいよ」そう事務員の1人がこぼすのを聞いて、妙案を思いついたのが、秘書室のAさんだった。「そうだ、院長室からいただこう」実はこの時期の院長室はお中元の宝の山なのだ。

備品は院長室より放出します

Aさんに連れられて、事務局代表Bさんが恐る恐る院長室に忍び込む。勝手知ったるAさん、「この辺が靴下、この列がハンカチ、あ、タオルもいるね。こっちの山だ」と、テキパキと指示を出した。10畳ほどはある院長室のほぼ半分に、デパートの包みがうずたかく山積みされている。

人数分の靴下とその他モロモロを確保したBさん、ホッとひと息ついたら、なんだか急に心配になってきた。最初はおっかなびっくりだったBさんも、「じゃあ、なるべく高そうなヤツ」と、三越や松坂屋の包装紙を選んで物色しだした。

Aさんはニヤリと笑って、「大丈夫、ダイジョープ。わかりゃしないよ、これだけあるんだから。それに毎週整理させられてこっちも大変なんだ」その後、秘書室を通じて院長じきじきのお達しが届いた。いわく、「業務のために必要な備品は院長室より放出します」。こうして院長室の中元泥棒、は、まったく気づかれることなく、公認の事実になったのであった。さすが気ばたらきの利く秘書Aさん、フォローも万全である、というわけだ。

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