医師不足の原因-大学病院へ行けば相変わらず外来は混んでいる

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

大学病院へ行けば、相変わらず外来は混んでいるし、いっこうに待ち時間は減らない。たしかに現場では、いまのところまだ医者が足りない。本当に医者は足りないのだろうか。しかし、医者が世に送り出されながら、どうも充足された感じがしないのは、どういうことなのだろうか。

ここに大きな落とし穴がある。開業医であれば、一週間フルに働くのは当たり前であるだから、大学病院で医者が増えても外来は混んでいるのだ。その医者をもっと臨床へ向けることができれば、医者が足りないなどということはないはずだし、外来の診察室の数の問題もあるが、もう少し混雑は緩和できるかもしれない。

優秀な医者が生まれる大学の定員は残し、他は削減したほうが、医療を受ける側にしてみればいいはずだ。昔に書かれた医学部入試についてふれている本には、医者は将来余ると予想されているが、そんなことはない。医者になって七、八年くらい経過した者は、研究中心の生活を始める。医者が足りないのではなく、研究至上主義のために、大学病院では臨床をやっている時間が少ないのだ。内科であれば外来半日を一回とすれば、一週間に行なっている外来診療は二から三回というところだ。それ以外は教育と研究に追われる。

医学が進歩し専門分野はどんどん広がり、医者はそれぞれの専門分野へ進むために、医者は将来も足りないのだというようなことが書かれている。この予測は大きくはずれた。医学部へ進むことは、人生がバラ色のように見えていた時代があったというのが正しいのだろう。

私立医大の建学の精神

臨床軽視は明治から官立系医学部が行なってきたことのようだ。研究こそ医学というスタイルに反発し、当時の高木兼寛が慈恵会医科大学を作り、北里柴三郎が福沢諭吉の接助を受けて、慶応大学医学部を作った。その目的は臨床重視の医学部を作ることであった。私立医大の建学の精神には、よき臨床医ということが謳われている。しかし、実際にはどうだろうか。

建学の精神のよき臨床医は、実にむなしいお題目になりさがってしまったといっていいようだ。ひたすら論文の数を稼ぐという方法でしか医者を評価しない、国立系大学医学部と同じ状況になっているという。新設医大も同じように臨床中心の医学教育であったはずが、現在では、研究至上主義になっているのはなぜだろうか。簡単にいえば、教授が国立系であり、看板は私立でも内部は官立であり、既設の私立医大とはだいぶ状況が違うようだ。

三十年以上経ったいま、よき臨床医は新設医大から生み出されたのであろうか。研究機関としての存在意義を考えるなら、新設医大はもう必要がないというのが本当のところであるようだ。

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