医師国家試験に合格させるために行われた犯罪行為

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

国家試験に落ちた医学部卒業生を対象として、二〇〇万円から四〇〇万円くらいの年間授業料で、翌年の医師国家試験の受験対策を講義する予備校です。予備校というと、ういういしい若者が学ぶ場というイメージがあるかもしれませんが、この医師国家試験予備校は、ふつうに医学部を卒業して二四歳を越えた人たちが通うわけで、中には、何度も国家試験にチャレンジしている、いいおじさんもいるという状況です。

今や高校、中学どころか、小学校や幼稚園までお受験が一般的になり、そのための予備校もできていることはよく知られています。わりに知られていないのが、医師国家試験の予備校がある、ということ。医学部を出てこの予備校に通えるのは、まず間違いなく医者か資産家の子弟で、親から授業料他すべて援助されている身分。

もっとも、偏った詰め込みと暗記だけで合格して、その後、医者としての能力が備わるのだろうか、という若干の疑問は残りますが。それよりも問題なのは、合格率を高くすることに汲々するあまり、絶対にやってはいけない試験問題漏えいにつながる心配もあることです。

歯科医師国家試験で

二〇〇一年には、歯科医師国家試験で、奥羽大学を舞台として試験問題漏えいが発覚し、教授が逮捕されるという事件もありました。この事件では、国家試験の前日に、受験生はあるホテルに泊まり、外部と遮断された密室の中で、出題されそうな問題や関連した情報が書かれた一〇〇枚以上のコピーが配られたといいます。

このコピーを作ったのは各大学の試験対策委員という学生たちで、彼らは六年生の秋から冬にかけて大手の予備校や他大学と情報交換をし、ホテルでファックスを使って情報交換をしていたというのです。

医師国家試験対策だけに特化した請義を受ければ、じきに試験にも合格するという仕組みです。医師国家試験の問題というのは、いろいろな大学の教授が作成します。試験委員といえども人間なので、学内の試験で出す問題とどうしても傾向が似てくるからです。それでも、過去の問題や、試験委員の教授の出題傾向を研究するのであれば、正当な医師国家試験対策だといえるでしょう。そこで、試験委員がいる大学の学生は、傾向と対策を知っているために当然有利になります。

奥羽大学の場合は、この試験対策委員の学生が使っていたノートパソコンが当局に押収され、事件が明かるみになったといいます。犯罪を犯す側は、なんとかウラの抜け道を探そうとするものです。医者の粗製乱造のシステム全体を変えなければ、高額の投資が必要な職業という医師養成システムの歪みはなくならないでしょう。

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