教授に評価され研究をやめさせられる医局員の悲劇

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

研究の評価は実に難しく、専門分野が違ってくると一人の主任教授では判断できなくなってくる。例えば、腎臓が専門の主任教授に、呼吸器の研究を判断させるほうが無理である。しかし、いまのようにいろいろな診療科目を抱え込んでいる大医局制度では、腎臓が専門の教授であっても、呼吸器、循環器、神経内科など、自分の専門外の研究も評価していかねばならない。

医局の研究テーマを決めるのは当然、主任教授である。そこで主任教授の納得できないものをやり出せば、研究費の配分も受けられず、そこでの研究生活は終わりである。そうしたやり方のほうが院内で医局の力を誇示できたし、医局員をたくさん抱えることができたからだ。

判断能力のない主任教授に研究を止められた医局員も多くいるようだ。個人的な人間関係がそこに入り、自分に従順であるからその医局員の研究を評価するという、実に馬鹿げたことがまかり通っているのが現状であるようだ。そこには科学的な根拠すらなく、感情論で押し通すことすらあったらしい。

しかし、さすがにその弊害が出て、診療科目は職器別になり、外来にも循環器内科、神経内科というように、細かく表示されるようになった。そのために、研究面でも臓器別の組織になってきていて、以前より一人の主任教授が専門外のことに口を出すことはできなくなってきた。しかし、まだまだ講座制が残っている限り人事権を持つために、主任教授の影響力は大きい。

二十年間同じ医局にいれば

どれほど有能な教授であろうと、二十年間同じ医局にいれば、その指導能力、研究能力は陳腐なものとなるといわれる。
どんなに知名度の高い教授であっても、最先端で研究を行なっているように見えるのは、優秀な研究者を抱えているからであって、いつまでも教授自身が直接研究をしているわけではない。
医学部の主任教授もやはり五年くらいをめどに任期制にすべきであるという声はある。
その場合、医局や医者の組織を管理する部署として別な組織が必要になろうが、研究指導者としての主任教授はやはり任期制にして、流動性を図る必要があろう。

とくに日本の医学部では、他の大学や研究機関との人材の行き来が少なく、研究者は一カ所で停滞してしまう。
大きなプロジェクトで有能な医者を集め、その研究が終われば解散していくというのが理想だろう。
ただ問題は、主任教授を辞めたあとの仕事や身分の保証の問題を解決しなければならない。
大学病院が研究至上主義を貫くなら、そのほうが効率はいいし、意味のない研究はできなくなる。

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