教授回診のある秘密

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

ある大学病院には週に一度特診日がある。これは、教授が外来診察する特別診療日のことで、午前中に病棟の回診をし、午後は5時半まで予約のみの患者を受けつけるものである。あれが教授の仕事?たまたま内科診察室を通りかかった、新人薬剤師のMさんは目が点になってしまった。Mさんが見たのは、特診日の内科診察室で、どこかのおばあさんが嫁の悪口を言っているのを、教授が親身に聞いてやっている姿であった。なんでこんなところでグチ話なんかにつき合って、とMさんはびっくり。

さっそく看護婦にたずねると、ああ、あれ、教授のお仕事よ。特診日はああいうのばっかりなんだからとの答えが返ってきた。ところが、Mさんが薬局に戻ると、もっとおどろいたことがあった。さっきのおばあさんに出された薬、これがなんとプラシーボだったのだ。プラシーボとは、たとえば乳糖などを薬の形にしたもの。つまり、これといって病名のつかない、治療する必要のない患者に処方する、ウソの薬である。とくに教授のお墨つきとくれば、頭痛が治り、食欲も出て、といった具合にちゃんと効能がある。

いわゆる気の病用のお薬

そういえば、この特診日に、薬局でやたらと出る薬がこれなのだ。いわゆる気の病用のお薬というわけである。このウソの薬が患者には効果テキメンなのだ。考えてみれば、教授とはその大学病院の、いわば顔である。病院の評判なんて、教授の人気ひとつにかかっていると言ってもおかしくない。まだまだ、病院の世界の機微を知らないMさん、教授とニセ薬の意外で重要なお役目に、ようやくナットクしたのであった。実は特診日、の予約は圧倒的にお年寄りが多い。

彼らの多くは実際、大した病気ではなく、ただ教授に診てもらうためだけのために、少し高い診察料を払っているのである。そして一度でも教授に話を聞いてもらい、教授から声をかけてもらう、たったそれだけで気の病はあっという間に完治するのである。それにしても、週に一度、せっかく教授に診てもらうというのに、薬学的には治療効果のまったくないニセ物の薬を出してもいいもんだろうか、そうMさんが思うのも無理はないだろうが、教授の役割は、やはりかなり大きいのである。

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