床屋の白衣が招いたある誤解

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

ある理髪店では、順番待ちをしている人たちがいた。しかし、突然、「これはたいへん」と店主のAさんは店を妻に任せ、急いで隣にある市立病院へ客を担ぎ込んだ。患者はさっそく外科に運ばれ、診断の結果、急性虫垂炎と判明した。何と、理髪店で順番待ちをしていた1人の客が、突然椅子から崩れ落ちたのだった。見れば顔には脂汗がにじみ、腹を押さえてウンウンうなっているのだ。

そして、ロビーに出て家族が来るのを待っていると、そこを通りかかった店の常連のB医師、Aさんを見つけて側に寄ってきた。Aさんのほうもなじみの先生にホッとして、大騒ぎのいきさつを話し始めた。腹膜炎も併発していたので、そのまま緊急手術をすることになった。親切なAさんは、手術室の入口までつき添ったり、患者の家族に連絡をとったりと、忙しく立ち働いた。すると、病院正面から患者の家族がロビーの中へと走りこんでくるのが見えた。

2人はお互いの服装を眺め顔を見合わせて苦笑

「先生、うちの人の具合、どうなんでしょうか?」「大丈夫なんですか?」彼女の視線は、明らかにAさんに向いている。「こちらですよ」とAさんが手を振ると、患者の奥サマ、近くに寄って深々と一礼し、おずおずと尋ねた。Aさんが「違います」と言う間も与えず、彼女は隣にいるBさんに向かって、おもむろに声をかけた。「このたびは、いろいろご親切にありがとうございました」。

Aさんは、そのときにやっと自分の姿に気づいた。2人はお互いの服装を眺め、顔を見合わせて苦笑した。夢中で駆けこんできたので、床屋の白衣のままだったのだ。逆にB医師はといえば、当直明けの私服姿である。見た目には、床屋の白衣は見分けがつかないようだ。これでは、仕事を間違えられてもしかたがない。「なるほど、要するに白衣を着れば、だれでも医者に見えるってわけだな」医者に見間違えられたAさん、まんざらでもなかったのか、以後、B医師が理髪店に来るたびに、ひとりニヤリとするという。

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