ヤンキーの妊娠-子宮摘出の手術を施さなければならない事態に

公開日: : 最終更新日:2015/10/08 医療に関する記事

振り乱した髪は金色に輝き、黒いTシャツに床までとどく長いジャンパースカートのいでたちは、さっきまで環七をバイクでならしていたヤンキー姉ちゃんそのもの。これは先日、子宮外妊娠で緊急入院してきたHさん、20歳の話。苦痛にゆがむ彼女の顔に眉毛はないが、まだ幼さが残る。かなりの出血があり、結局Hさんの子宮は破裂してしまった。ただちに処置をしたが、子どもは絶望的だ。それどころか癒着がひどく、残念ながら子宮摘出の手術を施さなければならない。さすがのNさんもベテランといえど、何度経験しても、この話を切り出すのはつらい。

しかし、できるだけ詳しくこの深刻な病状について説明し、Hさん夫婦に理解してもらわなければならない。子宮を取るということは、女性にとって実にツライこと。二度と子どもの産めない体になってしまうのだから。Nさんと主治医は、沈痛な面持ちで2人を診察室に呼び、説明を始めた。いわゆるインフォームド・コンセントである。残念ながら、もうお子さんは望めませんが、母体のためにはそれが一番、上見かけと違って、うつむいて神妙に聞くHさん夫婦。

Nさんも思わず目頭を熱くする

そのうちHさんはこらえ切れずに泣き出した。白いツナギの上に皮ジャンをはおった夫も、ポケットから両手を出すのも忘れて、整髪料でピカピカ光る頭を小刻みに震わせている。Nさんも思わず目頭を熱くする。すると、突然、Hさんがしゃくり上げながら、主治医に食ってかかってきた。

やめろよという夫を無視し、涙でクシャクシャの顔でHさんは叫んだ。なんでなの?先生、どうして子宮を取ると子どもができないの?は?Nさん、今までの同情心もぶっ飛び、ア然として二の句がっげない主治医にかわり、わからずやの子どもをなだめるように、子宮とはなにか解説をするハメになった。結局知っていたのは子どものつくり方までだったわけだ。あのね、子宮はね、赤ちゃんが育つお部屋なの。子宮がなくちゃ赤ちゃんがいる場所がないでしょう・・と。

記事一覧はこちら

スポンサーリンク

関連記事

no image

医療ミスの民事訴訟の問題

死がからむような重要なケースは、まず担ぎ込まれないし、担ぎ込まれても大きな病院に送ればいいだけの話。

記事を読む

no image

医学部への受験勉強

私が、夢を持ち、医学部に入ろうと思い、勉強する気になったのは、実は、高校二年生の初めに、とある映画を

記事を読む

no image

医師の紹介状があるかないかで料金が違うことがある-用語集

・紹介状 紹介状があるかないかで料金が違うことが多い。大学病院によっては、紹介状がないと診察し

記事を読む

no image

東大の医学部で偏差値が高いからとかいうのは

神経内科と救命救急センターで働くレジデントをやった。そこで人の生き死にに毎日のように直面していると、

記事を読む

no image

医者へのプレゼントによって待遇は良くなるのか?

医者へのお中元は必要ないようです。公立病院の医師などで、公務員医者の場合、金品の受け取りは罪になるこ

記事を読む

no image

国民健康保険制度の問題点

国民健康保険制度の問題点は、きちんと払わせる目的もあって、病気になってから入るということを原則的に許

記事を読む

no image

日本の名医と呼ばれる人の条件-多少の演技が必要

名医の条件とは何か。まず挙げられるのは、演技がうまい医者でしょう。現代社会では、医者もクライアントで

記事を読む

no image

医学教育の特徴-対外的な評価が教育面に反映されにくい現状

医学の教科書を棒読みする授業や、コピーを配るだけの、実に権威的なものが多いという。偉い教授の授業とい

記事を読む

no image

優秀な研究者は日本人であっても優遇される

東大医学部で、アメリカで優秀な研究者だった人がいるが、日本の研究所に入る際に、外国の研究資料を持ち出

記事を読む

no image

入院患者のトラブル-ライバル感覚からくる争い

患者さん同士にはライバルという感覚があります。特に、同じ時期に同じような手術をした人たちです。

記事を読む

スポンサーリンク

スポンサーリンク

no image
医者が転勤先で苦労する人と人とのコミュニケーション

転勤をいっぱい経験した医者の話では、方言のある地域へ行くのは、大変、外

no image
医師は不倫をしやすいの!?当直という名の外泊

オバ様族の患者さんが、男性の医師の私生活を知りたがる傾向にあるという。

no image
医者の学会の費用-豪勢な噂は本当なのか?

昔テレビでドラマ化されていた、白い巨塔のイメージでそう思ったのかもしれ

no image
製薬会社と病院の癒着は本当にあるのか?

研修医として病院に出勤すると、製薬会社社員からプレゼント責めにあうこと

no image
医者が始めて打つ注射の本音とその犠牲者

医者なら誰でも、初めて注射をする日があります。ということは、最初に注射

no image
忙しくて医師求人がなかなか探せない人におすすめの会社

医師の中には、転職を考えているが、忙しくてなかなか行動に移すことができ

→もっと見る

PAGE TOP ↑